見据えるのは「ファッションのその先へ」
デザイナー 中里 周子さん
2016/02/02
立教卒業生のWork & Life
OVERVIEW
「SWAROVSKI ELEMENTS JEWELRY AWARD」を日本人として初めて受賞した、ファッションデザイナー中里周子さんにお話を伺いました。
欧州最大のファッションコンテスト「ITS」2014で、ジュエリー部門のグランプリ「SWAROVSKI ELEMENTS JEWELRY AWARD」を日本人として初めて受賞した、新進気鋭のファッションデザイナー中里周子さんが、自らの表現にファッションを選んだきっかけは、立教大学文学部文学科文芸?思想専修で過ごした刺激的な時間だった。
「小説を書いたり、写真や映像の作品を作ったりと、同級生はすでに自己表現の世界観を持っていて、カルチャーショックでした。会話の中で『知らない』って言うのが悔しくて、あたかも知っているように振る舞い、そして後で必死に調べる。そんな処世術を学びましたね」。そう笑う中里さん自身も、個性的な存在だった。他の学生が小説や写真で課題作品を提出する中、一人洋服を作ったのだ。
「ファッションが大好きだったし、人と違うことがしたかった」サークルは服飾デザイン研究会に所属。学園祭でタッカーホールを舞台にするファッションショーが最大のイベントだった。服も舞台セットも全て素人の学生が手掛け、想像を絶するほど過酷でドタバタだったが、「どんなにピンチでも絶対に諦めない勇気とガッツが身に付きました。それは今でも力になっています」。勉強にサークルにフルスロットルで取り組んだ4年間でたどり着いたのは、「本当に自分がやりたいことは何か」という気づきだったという。
「あのころの私は、ファッションに対して背伸びし過ぎで空回りしていた。背伸びは大切なのですが、身の丈に合った私にしかできない表現があるのでは、と卒業後、次第に気がつくようになりました。単に服をデザインするのではなく、身体的な側面やアートの文脈でファッションを捉え、そのファッションをツールとして自分の世界観を表現してみたい。そのために、もっと多面的、俯瞰的にファッションを学びたいと考えました」
「小説を書いたり、写真や映像の作品を作ったりと、同級生はすでに自己表現の世界観を持っていて、カルチャーショックでした。会話の中で『知らない』って言うのが悔しくて、あたかも知っているように振る舞い、そして後で必死に調べる。そんな処世術を学びましたね」。そう笑う中里さん自身も、個性的な存在だった。他の学生が小説や写真で課題作品を提出する中、一人洋服を作ったのだ。
「ファッションが大好きだったし、人と違うことがしたかった」サークルは服飾デザイン研究会に所属。学園祭でタッカーホールを舞台にするファッションショーが最大のイベントだった。服も舞台セットも全て素人の学生が手掛け、想像を絶するほど過酷でドタバタだったが、「どんなにピンチでも絶対に諦めない勇気とガッツが身に付きました。それは今でも力になっています」。勉強にサークルにフルスロットルで取り組んだ4年間でたどり着いたのは、「本当に自分がやりたいことは何か」という気づきだったという。
「あのころの私は、ファッションに対して背伸びし過ぎで空回りしていた。背伸びは大切なのですが、身の丈に合った私にしかできない表現があるのでは、と卒業後、次第に気がつくようになりました。単に服をデザインするのではなく、身体的な側面やアートの文脈でファッションを捉え、そのファッションをツールとして自分の世界観を表現してみたい。そのために、もっと多面的、俯瞰的にファッションを学びたいと考えました」
(左)届け、ひかり(2015) (右)青い砂を掴む(2015) (Photo Shusaku Yoshikawa)
卒業後はファッションデザインの学校や服飾の専門学校で学んだ後、東京藝術大学大学院に進学。現在も博士課程で学ぶ身だが、自らのブランド「NORIKONAKAZATO」を2014年に立ち上げ、インスタレーションやジュエリー制作、写真家とのコラボレーション、アイドルグループ「乃木坂46」のアートディレクションなど、その活動は縦横無尽に広がり続けている。
今見据えているのは、ファッションを単なるデザインや商品にとどめるのではなく「体験」として発信していくこと。「例えば、ビルの部屋に飾られた洋服を、隣のビルから望遠鏡でのぞいて、選び、購入してもらう。その一連の体験をファッションとして楽しんでもらえたら」と斬新なアイデアは尽きない。「ファッションの先にある『X』。それが何かを自分の目で見つけてみたいのです」
今見据えているのは、ファッションを単なるデザインや商品にとどめるのではなく「体験」として発信していくこと。「例えば、ビルの部屋に飾られた洋服を、隣のビルから望遠鏡でのぞいて、選び、購入してもらう。その一連の体験をファッションとして楽しんでもらえたら」と斬新なアイデアは尽きない。「ファッションの先にある『X』。それが何かを自分の目で見つけてみたいのです」
※本記事は季刊「立教」235号 (2015年12月発行)をもとに再構成したものです。定期購読のお申し込みはこちら
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プロフィール
PROFILE
中里 周子さん
【略歴】
2007年4月 立教大学文学部文学科文芸?思想専修入学
2011年3月 卒業後、ファッションデザイン教室「ここのがっこう」入学。
山縣良和氏、坂部三樹郎氏に師事
2014年 「ITS」ジュエリー部門グランプリ「SWAROVSKI ELEMENTS JEWELRY AWARD」受賞、自身のブランド「NORIKONAKAZATO」を立ち上げる
2015年 平山郁夫文化芸術賞受賞
※記事の内容は取材時点のものであり、最新の情報とは異なる場合がありますのでご注意ください。